和菓子好きの方なら一度は耳にする「よもぎ餅」と「草餅」。
でも、その違いを具体的に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか？
どちらもよもぎを使ったお餅なのに、なぜ名前が違うのか、そこには長い歴史と日本ならではの文化が関係しています。
本記事では、両者の特徴や背景をわかりやすく解説し、知っているようで知らない和菓子の魅力をお届けします！
よもぎ餅の歴史的な背景
よもぎ餅は日本の春を象徴する伝統的な和菓子で、古くから人々に親しまれてきました。
その起源は平安時代にさかのぼります。
当時は、春の厄払いの意味を込めて「草餅」が作られ、母子草（ハハコグサ）という植物が材料として使用されていました。
しかし、江戸時代になると、母子草よりも風味や香りが良いとされる「よもぎ」が主流となり、よもぎ餅が広く普及しました。
また、縁起の良い植物としても認識されるようになり、桃の節句や上巳の節句など、春の行事において欠かせない和菓子となっていきました。
草餅とよもぎ餅の違い
草餅とよもぎ餅は名前が似ているため混同されがちですが、歴史や原材料に違いがあります。
草餅は本来、母子草を練り込んだ餅を指していましたが、江戸時代以降、主に「よもぎ」を使った餅のことも草餅と呼ばれるようになりました。
そのため、現代では草餅とよもぎ餅の違いは明確に区別されることが少なくなっています。
それでも厳密に言うと、母子草を使ったものを草餅、よもぎを使ったものをよもぎ餅と呼ぶのが本来の区別です。
草餅とよもぎ餅の材料の違い
現在では草餅とよもぎ餅の違いはほとんどありません。
基本的にどちらもよもぎを使用して作られているため、「草餅」と「よもぎ餅」は名前が異なるだけで材料や作り方に大きな差はないとされています。
ただし、昔の草餅ではハハコグサが使われていたため、伝統的な作り方には地域や時代による違いが存在します。
また、地域によってはほんのわずかに香りや彩りにアレンジが加えられることもあります。
春の季節とよもぎ餅の関係
よもぎ餅が春に欠かせない和菓子とされる理由は、よもぎが春の新芽だからです。
よもぎは、3月から5月にかけて新芽が生え、その柔らかな部分が餅の材料として最適とされています。
また、この時期には節句や様々な春の行事が行われるため、よもぎ餅や草餅は縁起を担ぐ意味でも食べられます。
特に桃の節句などでは、健康や無病息災を願って供えられることが伝統となっています。
地域ごとの呼び方と変遷
よもぎ餅や草餅は、日本各地で様々な呼び方や形態に変化してきました。
例えば、西日本では主に「よもぎ餅」という呼び方が一般的で、餡を包むスタイルが多い一方、東日本では「草餅」として餅の部分に風味をつけたり、きな粉をまぶして楽しむことが多いです。
また、特定の地域では独自の名前を持つこともあり、その土地の風土や文化に密着した存在となっています。
このような地域ごとの特徴や呼び名の違いは、和菓子としてのよもぎ餅がいかに日本人の生活に根ざしてきたかを物語っています。
よもぎ餅に込められた効能と健康効果
よもぎの栄養と効能
よもぎは日本でも古くから親しまれてきた薬草の一種で、多くの栄養素を含む健康的な植物です。
ビタミンAやビタミンC、鉄分、食物繊維などが含まれており、貧血予防や免疫力の向上に役立ちます。
また、抗酸化作用が期待できるポリフェノール類も豊富に含まれており、体内の老化現象を抑える効果があるとされています。
さらに、よもぎは消化を助ける働きがあるため、伝統的に胃腸の健康維持にも利用されてきました。
このような栄養価の高さが、よもぎの持つ魅力の一つと言えます。
よもぎ餅を食べることで得られる健康効果
よもぎ餅を食べることで得られる健康効果は非常に多岐にわたります。
まず、よもぎに含まれる食物繊維が腸内環境を整え、便秘の改善に役立ちます。
また、餅そのものがエネルギー源になるため、忙しい日々の中でも効率的に栄養を摂取することが可能です。
よもぎの香り成分にはリラックス効果やストレス軽減効果があるとされており、日々の疲れを癒やす贅沢な和菓子としても親しまれています。
春の季節によもぎ餅を味わうことで、栄養を補うとともに、体にも心にも優しいひと時を提供してくれます。
昔から知られる薬効の秘密
よもぎは、古くから薬効成分が認められており、平安時代には「万能薬」として重宝されていた記録も残っています。
特に、体を温める効果があるため、冷え性の改善や血行促進に活用されてきました。
江戸時代以降、よもぎ餅が広く受け入れられるようになった背景には、健康への意識が高まる中で「よもぎを食べる」という行為が特に重視されたことも関係しています。
また、よもぎには抗炎症作用や殺菌効果があるとされ、切り傷や湿疹の治療にも用いられてきました。
このような薬効を活かして作られるよもぎ餅は、単なる和菓子ではなく、美味しさと健康効果を兼ね備えた春の風物詩の一つと言えるでしょう。
昔ながらの自然食材としての魅力
草餅やよもぎ餅は、昔ながらの自然食材を活用した和菓子として、日本の食文化の中で長く親しまれてきました。特に、春の訪れを感じさせるよもぎは、その独特な香りと風味で四季を楽しむ心を私たちに思い出させてくれます。また、保存料や人工的な添加物を使わず、新鮮な材料で手作りできる点も大きな魅力です。美味しさと栄養を兼ね備えた草餅とよもぎ餅からは、昔の人々の知恵と自然の恵みのありがたさを再確認することができます。こうした手作りの和菓子を味わうことで、日本の伝統的な食文化を後世に伝えるきっかけにもなるでしょう。
