凍り豆腐と高野豆腐って、
何がちがうの?
そんな疑問を持ったきっかけは、
地方の農産物直売所でした。
高野豆腐によく似ているのに、
「凍り豆腐」という名前で売られていたんです。
これって同じもの?
それとも別物なの?
スーパーでは「凍り豆腐」という名前を
あまり見かけないので、
ふだんは気にならない人が
ほとんどだと思います。
でも、もし直売所や道の駅で
この名前を見かけたら、
ぜひこの記事を
参考にしてみてください。
凍り豆腐(こおりどうふ)・凍み豆腐・高野豆腐、実は全部同じもの?

「凍り豆腐」と「高野豆腐」、
スーパーでも直売所でも見かけるけど、
じつはこの2つ、
名前が違うだけで中身はほぼ同じものなんです。
さらに「凍み豆腐」という
呼び方もあります。
これも同じ食べ物を指していて、
全部で3つの呼び名がある、ということになります。
正体は同じ、JASで決められた正式名称は「凍り豆腐」
「え、じゃあどれが本当の名前なの?」
と思いますよね。
実は国が決めたルール(JAS規格)では、
「凍り豆腐」が正式な名前とされています。
「高野豆腐」も「凍み豆腐」も、
どちらもこの「凍り豆腐」の仲間、
という位置づけになっているんです。
「高野豆腐」は高野山生まれ、「凍み豆腐」は信州・東北生まれの呼び名
じゃあなぜ2つも呼び方があるのか。
それは、生まれた場所が
違うからなんです。
「高野豆腐」は、
和歌山県にある高野山という場所で生まれました。
昔、お坊さんが用意していた豆腐が
冬の寒さで凍ってしまったことがきっかけと言われています。
もったいないからと食べてみたら、
これがおいしかった。
そこから精進料理として
広まっていきました。
一方の「凍み豆腐」は、
長野県や東北地方の農村で生まれました。
こちらも同じように、
冬の寒さを利用して作られていた保存食です。
つまり、同じような方法で、
違う土地で、それぞれ生まれた食べ物だった。
それが今も別々の名前として
残っている、というわけです。
地域で呼び方が変わる理由(関西は「高野豆腐」、東北・信州は「凍み豆腐」)

今でも、住んでいる地域によって
呼び方が変わります。
関西のあたりでは
「高野豆腐」と呼ぶ人が多く、
東北や信州のあたりでは
「凍み豆腐」と呼ぶ人が多い。
これは、それぞれの土地で
昔から使われてきた名前が
そのまま今も
残っているからなんです。
スーパーと道の駅、売り場が違うのはなぜ?
「高野豆腐はスーパーで見るのに、
凍り豆腐は道の駅でしか見ない」
そう感じたことがある人も
多いのではないでしょうか。
これは気のせいではなく、
ちゃんとした理由があります。
高野豆腐は「工業生産品」だからスーパーに並ぶ
スーパーで売られている高野豆腐は、
多くが大きな工場で作られています。
機械を使って、
短い時間でたくさん作ることができる。
だから全国どこのスーパーでも
安定して手に入るんです。
大量に作れるということは、
値段も抑えやすいということ。
これが、スーパーで
よく見かける理由です。
凍り豆腐は「伝統製法の少量生産」だから直売所に並ぶ
一方の凍り豆腐は、
昔ながらの作り方を続けている
小さな生産者や
農家さんが作っていることが多いです。
外の寒い風にさらして、
時間をかけてじっくり作る。
機械でパッと作れるものではないので、
どうしても作れる量が少なくなります。
だから、その地域の
直売所や道の駅を中心に
置かれることが
多くなるんです。
発祥地の違いが、そのまま生産規模の違いにつながった
もともと高野豆腐は
高野山という場所で生まれ、
その後、工場で作る技術が
発達していきました。
一方の凍り豆腐(凍み豆腐)は、
農村で昔ながらの方法が
今もそのまま
受け継がれています。
つまり、生まれた場所の違いが、
そのまま「工場で作るか」
「昔ながらの方法で作るか」
という違いにつながっているんです。
これが結果的に、
売り場の違いにもなっているというわけです。
凍り豆腐の方が高い!値段の差はどこから来る?
「同じような食べ物なのに、
なんで凍り豆腐の方が高いんだろう?」
そう思った人もいるかもしれません。
これにも、
ちゃんとした理由があります。
寒風にさらして作る「寒干し製法」に時間がかかる
昔ながらの凍り豆腐は、
外の冷たい風に当てて作られます。
夜のあいだに凍らせて、
昼間に少しだけ溶かす。
これを何度も
くり返します。
こうすることで、
水分がゆっくり抜けていくんです。
この作業には、
数週間から数ヶ月もかかります。
時間も手間もかかる分、
値段が上がってしまうんです。
冬季限定・天候頼みの生産で量産できない
しかも、この作り方ができるのは
冬の寒い時期だけ。
一年中いつでも
作れるわけではありません。
さらに、その年の天気によって
うまく凍るかどうかも変わってきます。
「今年は暖かくて
うまく作れなかった」
なんてことも
あるかもしれません。
こういう事情から、
たくさんの量を作るのは難しいんです。
作れる量が少なければ、
自然と値段も上がります。
スーパー品は急速冷凍・膨軟剤(重曹)で製造期間を短縮している
一方、スーパーに並んでいる
高野豆腐はどうでしょうか。
こちらは工場で、
機械を使って一気に凍らせます。
さらに「膨軟剤」という
重曹のようなものを使うことで、
短い時間で
ふわっとした食感に仕上げます。
天気に左右されることもなく、
一年中いつでも作れる。
だから、たくさんの量を
安く作ることができるんです。
これが、スーパーの高野豆腐が
比較的安い理由です。
木綿豆腐って冷凍できるの?
普段の料理で使う
木綿豆腐。
これって、
冷凍してもいいのでしょうか。
答えは「できる」です。
ただし、
ちょっとした注意点があります。
結論、冷凍は可能。ただし食感が別物に変わる
木綿豆腐は、
そのまま冷凍することができます。
ただし、冷凍する前の
プルプルとした食感は
冷凍することで
まったく変わってしまいます。
「冷凍したら
別の食べ物になった」
そう感じる人も
多いはずです。
これは失敗ではなく、
冷凍豆腐特有の変化なので
安心してください。
冷凍すると起きる変化(色・食感・味の染み込みやすさ)
冷凍する前は白かった豆腐が、
解凍すると少し黄色っぽく変わります。
これは、豆腐の中の水分が
凍って氷の粒になり、
その氷が水分といっしょに
抜けていくからです。
食感も大きく変わります。
プルプルだったものが、
弾力のある食感に変わり、
まるでお肉のような
食感になります。
そして、水分が抜けたぶん、
すきまがたくさんできるので、
だしや調味料の味が
染み込みやすくなります。
冷凍・解凍の基本ステップ
冷凍のやり方は
とてもかんたんです。
まず、豆腐をパックのまま、
または水気を軽く切ってから
ラップでしっかり
包みます。
そのまま冷凍庫に入れて、
1ヶ月くらいを目安に保存します。
使うときは、
自然に溶けるのを待つか、
流水に当てて
解凍します。
解凍できたら、
手でぎゅっと押して
中の水分を
しっかり絞り出しましょう。
これで下ごしらえは
完了です。
木綿豆腐を凍らせると「手作り高野豆腐」になる仕組み

じつは、木綿豆腐を
凍らせて乾燥させると、
高野豆腐と
よく似たものができます。
なぜそんなことが
起きるのでしょうか。
凍結でタンパク質がスポンジ状に変化する
豆腐を凍らせると、
中の水分が凍って
小さな氷の粒に
なります。
この氷の粒が、
豆腐の中を通り抜けるように
できていきます。
そのときに、
豆腐に含まれるタンパク質が
引っぱられたり
押されたりして、
だんだんスポンジのような
すき間だらけの構造に
変化していくんです。
このすき間こそが、
高野豆腐特有の
あの食感を
作り出しています。
本来の高野豆腐の製法と何が同じで何が違うのか
本来の高野豆腐も、
まず豆腐を凍らせるところから
始まります。
ここまでは、
家庭で豆腐を冷凍するのと
同じ工程です。
違うのは、
そのあとです。
本来の高野豆腐は、
凍らせたあとに
じっくりと時間をかけて
乾燥させます。
水分をほとんど
すべて抜き切ることで、
長く保存できる
乾物になるんです。
家庭で豆腐を冷凍する場合は、
乾燥させる工程がないので、
水分は
残ったままです。
手作りと市販品、仕上がりの違い
つまり、家庭で作れるのは
「凍らせただけ」の状態。
市販の高野豆腐は
「凍らせて、さらに乾燥もさせた」状態。
この違いが、
仕上がりにも表れます。
市販の高野豆腐は、
軽くてカラカラに乾いていて、
常温でも
長く保存できます。
家庭で凍らせた豆腐は、
乾燥はしていないので、
冷凍庫や冷蔵庫で
保存する必要があります。
とはいえ、
味を染み込ませやすいという点では
どちらも
よく似ています。
手軽に近い食感を
楽しみたいときは、
家庭で豆腐を
凍らせるだけでも十分です。
まとめ|結局どれを選べばいいのか
ここまで、
凍り豆腐と高野豆腐の違い、
そして木綿豆腐の
冷凍について見てきました。
最後に、
かんたんにまとめておきましょう。
手軽に試すなら「冷凍木綿豆腐」
「まずは試してみたい」
という人には、
木綿豆腐を
冷凍するのがおすすめです。
家にある豆腐を
そのまま冷凍庫に入れるだけ。
特別な道具も
材料もいりません。
唐揚げ風やそぼろ煮など、
味をしっかりつけたい料理に使えば、
高野豆腐に近い食感を
気軽に楽しめます。
まずはここから
始めてみるといいでしょう。
本格的な食感を楽しむなら「高野豆腐」「凍り豆腐」
一方で、
本格的な味わいを楽しみたいなら、
市販の高野豆腐や
凍り豆腐がおすすめです。
しっかり乾燥させて作られているので、
だしの旨味を
たっぷり
吸い込んでくれます。
スーパーで手軽に買うなら
高野豆腐、
道の駅や直売所で
昔ながらの味を楽しみたいなら
凍り豆腐を
選んでみてください。
同じような食べ物でも、
選び方ひとつで
料理の仕上がりが
変わってきます。
ぜひ、今日の内容を参考に、
自分に合った豆腐を
見つけてみて
くださいね。

